水冷式油圧シリンダーの修理
◇要点
・部品検査
多くの場合、シリンダーのシールにはゴム製のパッキンが使用されています。ですが、このシリンダーは車のエンジンと同じようにピストンパッキンが使用されています。このようなタイプのシリンダーもあります。
今回は高温の場所で使用されているシリンダーの修理です。
これは2年前に出荷した製品です。周りの汚れからとても過酷な環境下で使われていることがわかります。いつも通りに丁寧に分解していきます。
まず、パイプ(シリンダーチューブ)とリテーナを固定しているボルトを緩めていきます。
ここからは作業しやすいように立てて行います。すべてボルトを外し終えたので、一つずつ部品を外していきます。
重量があるためクレーンを用いながらシャフト(ロッド)を外していきます。
パイプ(シリンダーチューブ)からロッドが抜けました。
ピストンをよく見ますとゴミのようなものが付いています(写真右の赤枠)。これは外部からのコンタミや摺動による摩耗紛などが考えられます。このコンタミや摺動傷によりパイプ(シリンダーチューブ)とピストンのカジリの原因となります。定期的な点検をすることによってカジリのリスクが抑えられ、安心して長く使うことができます。
ピストンリングを外し、ピストンを外して分解終了です。
旧品流用ができるか検査をしていきます。シリンダを冷やすために、水を使っているので錆が目立ちますが、錆を落とせば流用可能です。
シャフト(ロッド)は摺動傷が大きいため、流用できないので製作します。
パイプ(シリンダーチューブ)はホーニング加工で磨きました。左が修整前、右が修整後です。
ロッドカバーの溝は旋盤で磨きました。左が修整前、右が修整後です。
整備後、各部品を洗浄し組み立てていきます。
先端金具と新規製作したシャフト(ロッド)が入るかどうか確認が必要です。
シャフト(ロッド)にピストンを取り付け、ピストンリングを付けていきます。
シャフト(ロッド)をパイプ(シリンダーチューブ)に挿入していきます。このピストンリング挿入冶具(写真左の赤枠)内部にテーパーをつけてあります。冶具を使うことによって、広がっているピストンリングを狭めて挿入しやすくなることで、作業性を向上させることができます。また、その他のパッキンでも冶具を使うことによってスムーズに挿入することができます。
シャフト(ロッド)挿入後、ロットカバーを取り付けていきます。
ロッドカバーを取り付け、リテーナで押え、ボルトを締めて完成です。
耐圧・動作確認、規定のストロークがあるかそして油漏れがないか検査をして、出荷します。